老人ホームの入居と相続税

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老人ホーム入居後に自宅を売却

居住用家屋を空き家にして夫婦で老人ホームに入居したケースです。

入居後に、居住用不動産の所有者だった夫がその物件を売却したときは、入居から3年経過後の年末までなら居住用財産譲渡の3000万円特別控除の特例の適用があります。

その間の建物の用途は問われません。親族に使用させていても構わないし、貸家として第三者に賃貸していても可能です。

相続配偶者の小規模宅地特例適用

老人ホームで夫が亡くなり、配偶者が空き家のままだった自宅を相続する場合には、相続税の小規模宅地の減額特例は、取得者が配偶者であるため無条件に適用できます。

その後、その配偶者が老人ホームに入居継続のまま相続した自宅を譲渡した場合には、居住用財産譲渡の3000万円特別控除の特例は適用できません。

最高裁判例が「所有者として居住の用に供していたことがない」とこの特例の適用は出来ないとしているためです。事前に配偶者への居住用財産の2000万円非課税贈与を適宜な時期にしていたら、よかったところです。

相続配偶者の空き家特例適用の要件

それではこの場合、相続空き家譲渡の3000万円特別控除の適用は、どうでしょうか。

こちらについては、相続開始時の被相続人の居住用という要件①については、要介護認定等を受けての老人ホームへの入居の場合なら、その入居時において居住用であることを要件充足としているので、これはクリヤーできそうです。

でも、もう一つ、老人ホーム入居直前の独居状況も要件②としているので、夫婦一緒での入居の場合は適用となりません。

「家なき子」相続の場合の小規模特例適用

また、この譲渡を実行せず、そのままこの配偶者が老人ホームで亡くなった場合、次の子供達への相続で、「家なき子」の要件を充足する相続人がいたとして、その者が相続した時は、小規模宅地の特例の適用は可能でしょうか。

被相続人は、老人ホーム入居直前に於いて居住用に利用していましたものの、その時は所有者ではありませんでしたが、この場合の判定の結果は、適用可です。

所有者であることを前提とする法令上の要件規定や先行判例が無いためです。

東京国税局の文書回答事例でこれを是とする見解が、インターネット上で閲覧できます(下記リンク参照)。

【参考】

No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋

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この記事の監修者

宮川 英之 公認会計士・税理士

つなぐ相続センター代表。福岡県内で相続税、贈与税の相談から申告書作成、提出、税務調査対応まで一貫して手掛けている。

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