生命保険金を相続税申告するには

生命保険

生命保険金は、相続に際して節税商品や納税資金として提案を受ける場合もあることでしょう。

うっかりして相続税の申告が必要なことに気付かないまま、税務調査で申告漏れを指摘される事例が増えているとのことです。

多くは相続税申告をされる納税者が生命保険の相続税について誤解していた、また失念していた、税理士への事前説明が漏れたことによるものとのことです。

生命保険の相続についても、税務署から指摘を受けないよう、負担を求められることがあるので注意が必要です。また、2021年にスタートした生命保険契約照会制度についても確認しておきましょう。

目次

生命保険金は相続財産にあらず

生命保険金は相続によって被相続人から承継されるものではなく、保険金受取人の固有の財産であるため、遺産分割の対象とはなりません

また、被相続人が生前、相続人に贈与した生計の資本、養子縁組や婚姻のための贈与(特別受益)にも該当しないため、生命保険金は相続税の申告対象にはならないと思うかもしれません。

みなし相続財産

相続税では被相続人が保険料を負担した生命保険金も相続税の申告対象となります。

民法上の相続財産ではありませんが、経済実質的には、被相続人の死亡によって財産を取得するので、相続財産又は遺贈財産とみなして相続税が課税されます。

その際、法定相続人1人当たり500万円の非課税措置があるので、限度額を超える部分のみの課税で済みますが、申告が必要なことに変わりはありません。


なお、生命保険金は特定の相続人だけが取得するので遺産分割で考慮すべきか気になりますよね。

判例によると、保険金の額、遺産総額に対する比率、同居の有無、被相続人に対する介護の度合い、各相続人の生活実態などの諸事情を総合考慮して相続人の間で不公平が是認できないほどに著しい特段の事情がある場合は、特別受益に準じて持戻しの対象と解するのが相当であると判示したものがあります。

申告漏れとならないように注意

税務調査で生命保険金の申告漏れが判明した場合、不足税額に加え、延滞税(納付遅延期間の利子に相当)や過少申告加算税(10%又は15%)が課されます。

また申告漏れが隠蔽仮装であると認定された場合は、過少申告加算税に代えて重加算税(35%又は45%)が課され、税負担がさらに重くなります。

相続人に生命保険金を受け取る人がいるときは、必ず契約内容を見て課税上の取扱いの確認を受け、申告漏れとならないようにしましょう。

生命保険

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この記事の監修者

宮川 英之 公認会計士・税理士

つなぐ相続センター代表。福岡県内で相続税、贈与税の相談から申告書作成、提出、税務調査対応まで一貫して手掛けている。

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