【第2回】相続税の対象になる財産とは?課税財産・非課税財産・生前贈与をわかりやすく解説

前回の第1回では、「相続税とは何か」「基礎控除を超えると申告が必要になる」という基本を解説しました。

今回はもう一歩踏み込んで、そもそも相続税の対象になる「財産」とは何を指すのかを整理していきます。

「相続財産」と聞くと、預貯金や土地・建物をイメージされる方が多いと思います。

しかし実際には、生命保険金や死亡退職金、亡くなる前一定期間内の贈与など、「えっ、これも対象になるの?」と驚かれる項目が少なくありません。

なお、令和6年1月1日以後の暦年贈与については、相続税への加算対象期間が段階的に3年から7年へ延長されています。逆に、すべての財産が課税されるわけではなく、明確に非課税とされているものもあります。

今回は具体例を交えて整理していきましょう。

目次

課税対象となる「プラスの相続財産」

相続税の課税対象となる代表的なプラスの財産は、次のとおりです。福岡で実際にご相談を受ける中でも、ほとんどのご家庭でいずれかが該当します。

(課税対象となる財産例)

  • 不動産:自宅の土地・建物、アパート・貸家、農地、山林、駐車場など
  • 現預金:普通預金、定期預金、ゆうちょ、財形貯蓄、手元現金
  • 有価証券:上場株式、投資信託、国債・社債、非上場株式
  • 事業用財産:個人事業の売掛金、棚卸資産、機械設備
  • 動産:自動車、書画骨董、貴金属、家財一式
  • その他の権利:ゴルフ会員権、貸付金、特許権、著作権

福岡では、特に不動産の評価が相続税額を大きく左右します。例えば、福岡市中央区・博多区など地価の高いエリアに土地をお持ちの場合、「自宅だけだから相続税は関係ない」と思っていても、評価額が基礎控除を超えるケースがあります。

土地の評価は「路線価方式」または「倍率方式」で計算しますが、形状・接道状況・利用区分などによって減額補正が可能であり、専門家が関与することで税額が大きく変わる代表的な項目です。

生命保険金・死亡退職金は「みなし相続財産」に注意

本来は被相続人の財産ではないものの、実質的に相続と同じ効果を持つことから、相続税法上は相続財産とみなして課税される財産があります。

これを「みなし相続財産」と呼びます。代表的なものは次の2つです。

  • 生命保険金:被相続人が保険料を負担していた契約で、相続人が受け取る死亡保険金
  • 死亡退職金:被相続人の死亡により遺族へ支給される退職金、功労金など ※弔慰金については、金額や支給理由により取扱いが異なるため、個別確認が必要です。

これらには「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。

たとえば法定相続人が3人なら、生命保険金で1,500万円、死亡退職金でさらに1,500万円までが非課税となります。生前対策として生命保険を活用するご家庭が多いのは、この非課税枠を有効活用できるためです。

ただし、この非課税枠を使えるのは、相続人が受け取る死亡保険金・死亡退職金に限られます。相続人以外の方が受け取る場合には、非課税枠の適用がない点に注意が必要です。

借金・未払金・葬式費用は相続財産から差し引ける

相続では、プラスの財産だけでなく、借金・未払金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。これらは「債務控除」として、相続財産から差し引くことができます。

  • 住宅ローン、事業用借入金、銀行借入金
  • 未払いの医療費・介護費用、未払いの公共料金
  • 未払いの所得税・住民税・固定資産税
  • 葬式費用(通夜・告別式・火葬・お布施など)

注意したいのは、香典返しや初七日・四十九日法要の費用、墓地・仏壇の購入費用などは原則として控除できないという点です。

「葬儀関連だから全部引けるはず」と思い込まず、領収書を整理しながら判断する必要があります。お布施など領収書がない支出についても、支払日・支払先・金額・内容をメモしておくと、申告時の整理に役立ちます。

相続税がかからない非課税財産とは

次のような財産は、もともと相続税の課税対象外とされています。

墓地、墓石、仏壇、仏具など祭祀に関する財産
国や地方公共団体、公益法人などへの寄付財産(一定の要件あり)
生命保険金・死亡退職金のうち非課税枠の範囲内
心身障害者扶養共済の給付金を受け取る権利

ただし、純金製の仏具や高額すぎる墓石など、「祭祀の用に供する」とは認めがたいものは非課税にならない場合があります。

生前に節税目的で過剰な購入をすると、後の税務調査で否認されるリスクがあるためご注意ください。

生前贈与は相続税に加算されることがある

「相続税対策で生前に少しずつ贈与をしてきた」という方も多いと思いますが、亡くなる直前の贈与は「生前贈与加算」として相続税の課税対象に取り込まれます。

従来は「相続開始前3年以内の贈与」が加算対象でしたが、税制改正により段階的に7年以内へと延長されました。

2024年1月以降の贈与から順次適用が進んでおり、これからの相続では、より長い期間の贈与を確認する必要があります。また、相続時精算課税制度を利用した贈与は、原則として全期間が相続税の対象となります。

「贈与税の申告はしていなかったけれど、毎年子どもに振り込んでいた」というようなケースでは、税務調査で「名義預金」と判断され、相続財産に加算されることもあります。

生前贈与は形式が大切で、契約書の作成や本人の口座管理など、客観的な証拠を残すことが重要です。

相続税の計算の全体像

ここまで見てきた財産を整理すると、相続税はおおまかに次の流れで計算します。

  1. プラスの財産+みなし相続財産+生前贈与加算 − マイナスの財産=正味の遺産額
  2. 正味の遺産額 − 基礎控除=課税遺産総額
  3. 課税遺産総額を法定相続分で按分し、各人ごとに税率を適用して相続税の総額を算出
  4. 実際の取得割合に応じて各人の納付額を計算し、配偶者の税額軽減などの各種控除を適用

計算式そのものはシンプルですが、不動産の評価や名義預金の判定、特例の適用要件などで判断が分かれる部分が多く、ここに専門家のサポートが必要になる理由があります。

第2回のまとめ

  • 相続税の対象は不動産・預貯金・有価証券・事業用資産・動産・各種権利と幅広い
  • 生命保険金・死亡退職金は「みなし相続財産」として課税対象(ただし非課税枠あり)
  • 借入金・未払金・葬式費用は「債務控除」として差し引ける
  • 亡くなる前一定期間内の生前贈与は、相続税の課税対象に加算される場合があります

次回(第3回)は、いよいよ相続発生から申告までの「10か月のロードマップ」を、時系列で具体的にご紹介します。


「これは相続財産になる?」と迷ったら、つなぐ相続センターへ

名義預金、生命保険、不動産、過去の贈与の取り扱いなど、相続財産の範囲には専門的な判断が必要なものが多くあります。特に不動産がある相続では、評価方法によって相続税額が大きく変わることもあります。福岡市天神の「つなぐ相続センター」では、不動産のある相続に強い税理士が、財産の洗い出しから評価・申告までトータルでサポートいたします。天神駅から徒歩1分、オンライン面談にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

営業時間 9:00〜18:00(土日祝休み)/〒810-0001 福岡市中央区天神二丁目8-38 協和ビル6階

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事の監修者

宮川 英之 公認会計士・税理士

つなぐ相続センター代表。福岡県内で相続税、贈与税の相談から申告書作成、提出、税務調査対応まで一貫して手掛けている。

相続税・贈与税のご依頼・ご相談なら

つなぐ相続センター
目次
閉じる