【福岡の相続税入門】相続税の申告は必要?基礎控除と申告対象を税理士が解説

福岡の相続税申告手続き

「親が亡くなったけれど、相続税の申告って必要なの?」

「うちは普通の家庭だから関係ないと思っていたのに、税務署から書類が届いた」

―福岡で相続を経験されたご家族から、こうしたお悩みを伺うことが年々増えています。

福岡市内では天神・博多エリアの再開発が進み、住宅地・商業地ともに地価が上昇傾向にあるため、自宅と預貯金を合わせるだけで「相続税の対象になる」というケースが珍しくありません。

本連載「福岡で相続税申告の手続きと流れがわかる入門ガイド」では、相続税の基礎から申告までを全5回でやさしく解説します。

第1回となる今回は、まず押さえておきたい「そもそも相続税とは何か」「自分の家でも申告が必要になるのか」という基本のポイントを整理します。

目次

相続税とはどんな税金か

相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、配偶者やお子さまなどのご家族(相続人)が引き継ぐ際に課される国税です。

相続によって取得した財産の総額が一定額(基礎控除額)を超える場合、その超えた部分に対して課税される仕組みです。

「亡くなった方の財産を受け取るだけなのに、なぜ税金がかかるの?」と感じる方も多いのですが、相続税には大きく2つの目的があります。

1つは富の再分配。世代を超えた財産の集中を緩和するため、一定以上の財産には課税する仕組みです。

もう1つは所得税の補完。生前に十分課税されていない資産価値の移転に対して課税するという側面もあります。

申告と納税は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。

この10か月という期間は、後の連載で詳しく解説しますが、実際にはあっという間に過ぎてしまうのが現実です。

相続税には「基礎控除」がある

すべての相続に相続税がかかるわけではありません。

相続財産の合計額が「基礎控除額」以下であれば、相続税はかからず、原則として申告も不要です。

基礎控除額は次の式で計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円が基礎控除額となります。

相続財産の合計がこの金額を下回れば、原則として相続税の申告は必要ありません。

ただし注意したいのは、この基礎控除は2015年(平成27年)の税制改正で従来の6割の水準まで引き下げられたという点です。

改正前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、改正後はより多くのご家庭が相続税の課税対象となりました。

実際、国の統計でも、亡くなった方のうち相続税の課税対象となる割合は、改正前の約4%から現在では約9〜10%へとほぼ倍増しています。(参考:相続税の改正に関する資料

福岡でも「うちは関係ない」が通用しなくなっている理由

福岡市は、ここ10年で全国的にも有数の人口増加都市となりました。

それに伴って、中央区・博多区を中心に住宅地・商業地ともに公示地価が上昇しています。

具体的には、次のようなケースで「思った以上に財産額が大きくなり、申告が必要になった」というご相談が増えています。

  • 長く住んでいた福岡市中央区・早良区・南区などの戸建て住宅の評価額が、購入当時より大幅に上がっている
  • 親が所有していたアパート・貸家・駐車場がある
  • 退職金や保険金を含めると、預貯金が想定より多い
  • 祖父母から受け継いだ農地や山林、別荘などが福岡県内・近隣県にある

特に「自宅+預貯金」というシンプルな構成のご家庭でも、ご自宅が天神・博多・西新・大濠などの人気エリアにある場合、土地の評価額だけで2~3,000万円を超えることは珍しくありません。

そこに預貯金と生命保険を合わせれば、基礎控除額を超えるケースも少なくありません。

「申告不要」と「税額ゼロ」は違う

相続税の世界でぜひ覚えておきたいのが、申告は必要だが税額はゼロ」というパターンがあることです。

代表例が、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった「税額が大幅に軽減される特例制度」です。

これらの特例は、相続税の申告書を提出することが適用の条件になっています。

つまり、「特例を使えば税金がかからないから申告もしなくていい」と誤解して何もしないでいると、本来受けられた特例が使えず、結果的に多額の税金を支払うことになりかねません。

「相続税は基礎控除を超えるかどうか」と「特例を使うかどうか」を整理して判断する必要があるため、まずは財産の総額を概算でも把握することが第一歩となります。

こんなご家庭は要チェック

「うちは資産家ではないので関係ない」と思っていても、実際にお話を伺うと相続税の課税対象になっているケースは少なくありません。

次のような状況に当てはまるご家庭は、一度ご自身の財産状況を確認されることをおすすめします。

  • 福岡市内(中央区・博多区・南区・東区・城南区・早良区など)に持ち家がある
  • 自宅以外にも収益不動産(アパート・駐車場・貸店舗など)を保有している
  • 退職金や生命保険を含めると金融資産が3,000万円を超える見込みがある
  • 長年勤めた会社の自社株や非上場株式を持っている
  • 祖父母や両親から受け継いだ農地・山林がある

これらの要素が複数当てはまる場合は、基礎控除を超える可能性が高くなります。

「自宅は古いから評価額は低いはず」と思っていても、土地の評価は建物の築年数とは別に計算されるため、想像以上の金額になるケースが多いのです。

まずは固定資産税の納税通知書や預金通帳など、手元の資料から概算で確認してみましょう。

第1回のまとめ

  • 相続税は、亡くなった方の財産を引き継いだ際にかかる国税で、申告期限は原則10か月以内
  • 「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除を超える場合に申告が必要
  • 2015年の改正と福岡の地価上昇により、申告対象となるご家庭が増えている
  • 「特例で税額ゼロ」のケースでも申告書の提出が必要で、判断を誤ると不利益が生じる

次回(第2回)は、相続税の対象となる財産・ならない財産について、不動産・預貯金・生命保険・借金などの具体例を交えて整理していきます。


福岡での相続税申告は「つなぐ相続センター」へご相談ください

「自分の家は相続税の対象になるのだろうか?」「基礎控除を超えそうだが、何から始めればよいかわからない」――そんなときは、福岡市天神の「つなぐ相続センター」にお気軽にご相談ください。天神駅3番出口から徒歩1分、不動産のある相続に強い税理士が、初回からていねいにお話を伺います。来所が難しい方にはオンライン面談にも対応しております。

営業時間 9:00〜18:00(土日祝休み)/〒810-0001 福岡市中央区天神二丁目8-38 協和ビル6階

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この記事の監修者

宮川 英之 公認会計士・税理士

つなぐ相続センター代表。福岡県内で相続税、贈与税の相談から申告書作成、提出、税務調査対応まで一貫して手掛けている。

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